飼ってみたい!今はもう絶滅した犬種とは
はるか昔から、犬は人類の友であった。現在の犬種は数百種類にも上るが、かつては、もっと多くの犬種が存在していたと聞いて、あなたは驚くだろうか。現在も人気のゴールデンレトリーバーからブルドッグ、さらにはドレッドヘアのプーリーのような珍しい犬種に至るまで、犬の種類は果てしなかったのである。
国際畜犬連盟として知られるFCIでは、今までにおよそ360種類の犬種が登録されている。たとえばイヌ科の恐竜のように、現在はすでに絶滅してしまっているものもいる。かつて、私たちの先祖と友のように寄り添った犬たちをどんな顔だったのだろうか。犬好きのあなたは、最後まで目が離せないだろう。
タルボット・ハウンド
![Talbot Talbot](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/7-Extinct-Dog-Breeds-You’ve-Gotta-See-to-Believe-25380.jpg)
現代のビーグル犬とブラッドハウンドの祖先と思われる、タルボット・ハウンドは、中世のイギリスにおいて猟犬だった。嗅覚や視覚を使って、獲物を追跡させていたのか、獲物を探し出させていたのかは定かではない。
タルボット・ハウンドの大きさは、小型犬から中型犬くらいで、毛並みは白、大きくて力強い足、大きい胸部と、細いウエスト、ブラッドハウンドのような長いたれ耳、そして細長くカールした尻尾が、その特徴として描かれている。この犬種は、18世紀末頃までは存在していたという。
セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグ
![St. John's Water Dog St. John's Water Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/These-Strange-Extinct-Dog-Breeds-Are-Rarely-Talked-About-But-Deserve-To-Be-Remembered-28302.jpg)
セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグが、どのように交配されて生み出されたのかについては、ほとんど知られていない。しかしながら、古くはイギリスとアイルランド、ポルトガルの使役犬がランダムに掛け合わされた雑種ではないかと見る向きもある。性格が穏やかで扱いやすいことに加え、リトリービング(回収作業)に優れており、網にかかった魚を咥えて船に戻ることから、漁師に重宝された。セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグは、がっちりした中型犬で、力強く、胸やあご、足、鼻先などに白い模様が入っているのがその特徴だ。
セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグは、1980年代に、原産地でもある、ニューファンドランド島で絶滅した。だが、ありがたいことに、この利口な犬は、現代のレトリーバー種の祖先となり、血筋は脈々と受け継がれている。
ツウィード・ウォーター・スパニエル
![Tweed Water Spaniel Tweed Water Spaniel](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Tweed_Water_Spaniel1-20587.jpg)
ツウィード・ウォーター・スパニエルは、スコットランドとイギリスの国境近くのバーウィック・アポン・ツウィード辺りで生み出された。この犬種は、既に絶滅しているセント・ジョンズ・ウォーター・ドッグと、この地域の地犬であるウォーター・ドッグを交配させたものではないかと言われている。特徴としては、大体が茶色で、毛はカールしており、尻尾も長くてカールしている。この犬種は、ツウィード川の漁師らに忠誠を尽くし、リトリービング(回収作業)を厭わず、喜んで飼い主に仕えたという。
残念ながら、この美しい犬種であるツウィード・ウォーター・スパニエルは19世紀に絶滅したが、この犬種から生まれたのが、現代のカーリーコーテッド・レトリーバーやゴールデンレトリーバーである。
カンバーランド・シープドッグ
![Cumberland Sheepdog Cumberland Sheepdog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/7-Extinct-Dog-Breeds-You’ve-Gotta-See-to-Believe-1-90118.jpg)
カンバーランド・シープドッグは、ボーダーコリーやオーストラリアンシェパードの祖先だ。この使役犬の体高は20インチほどで、体重も軽いことから、姿勢を低くしたまま、静かに素早く動くことができる。特徴としては、白と黒の毛並みに、力強い足、横ではなく、前に垂れている耳が挙げられる。つまり、見た目にも可愛い。
20世紀の初頭、ボーダーコリーと呼ばれるようになり、ボーダーコリーの犬種にまとめられたために、カンバーランド・シープドッグという名前(犬種)が絶滅したのだろうと思われる。
ターンスピット
![Turnspit Turnspit](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/10_-Turnspit-Dog-Photo-by_-BookDome-95312.jpg)
ターンスピットには悲しい歴史がある。この使役犬は、肉焼き機に取り付けられた回し車を回転させるために使われていた、当時では一般的な犬だった。長い胴体と短く曲がった足、疑っているような、不機嫌そうな顔が特徴的だ。ターンスピットは「ブサイクな犬」として分類されているが、単に誤解されているだけかもしれない。
この犬種は、ユニークな個性を持ち合わせていた。ターンスピットは、グレン・オブ・イマール・テリアやウェルシュコーギーの祖先だと考える人もいる。ターンスピットについて、きちんとした記録はなく、歴史の中で失われてしまったようだ。
イングリッシュ・ウォーター・スパニエル
![English Water Spaniel English Water Spaniel](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/English-Water-Spaniel-French-1930s-dog-chromolithograph-_-Etsy-54645.jpg)
ウィリアム・シェイクスピアの作品に登場した唯一の犬種、イングリッシュ・ウォーター・スパニエルは、少なくとも16世紀には存在していた。当時、この犬種はよく狩猟に伴われていた。イングリッシュ・ウォーター・スパニエルは、隠れている水鳥を勢いよく追い立て、漁師が撃った鳥をくわえて戻ってくる。注目に値すべきは、この犬種はアヒルのように水に潜れることだろう。
イングリッシュ・ウォーター・スパニエルの胴体は細長く、長い足と耳を持つ。背中は茶色く、お腹は白い。残念ながら、この犬種はラブラドールなどその他の犬種が人気になるにつれ、20世紀初頭に絶滅した。
トイ・ブルドッグ
![Toy Bulldog Toy Bulldog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Toy-bulldog-13238.jpg)
トイ・ブルドッグは、18世紀~19世紀の間に存在した犬種だ。元々は人気であった闘犬用の犬であったが、闘犬が1885年に禁止されてからは、家庭で飼育できるように改良された。筋肉質の体つきであるトイ・ブルドッグは、しわくちゃだが、真面目な顔つき、短い足で知られている。
この犬種を復活させる試みがなされているものの、残念ながら、まだ成功には至っていない。現在では、「トイ・ブルドッグ」という言葉は、ミニチュア・ブルドッグを指して使われることもある。
アルペン・マスチフ
![Alpine Mastiff Alpine Mastiff](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Information-on-historic-dog-_breed_-Alpine-Mastiff-24398.jpg)
現代のマスチフの大きさを考えると、体高39インチ、体重350ポンドのアルペン・マスチフが、最初の巨大犬であるということにも、頷けるだろう。この犬種の起源は、紀元前500年前の北ヨーロッパにまでさかのぼる。この巨大で優しい犬は、最初の純血種のマスチフといえる。
現代のマスチフと比べると、アルペン・マスチフは、少し細身で、尻尾も長く、毛は短く、ブリンドル模様をしている。アルペン・マスチフを交配させ、後にセントバーナードやイングリッシュ・マスチフなどの犬種ができたが、アルペン・マスチフは1815年頃に絶滅している。
タールタン・ベア・ドッグ
![Tahltan Bear Dog Tahltan Bear Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Tahltan-Bear-Dog-Bushy-Tail-Canada-Believed-to-be-Extinct-14-to-17-inches-Pointy-ears-54824.jpg)
多少辛い歴史もあるものの、タールタン・ベア・ドッグは、クマを狩るために改良された犬種だ。小柄で、体の柔らかいこの犬種は、俊敏に動けるため、ブリティッシュコロンビアの北西部やユーコン南部に広がる足場の悪い山岳地帯にはもってこいだった。狩猟の前には、儀式として、キツネやオオカミの腓骨をとがらせたもので、犬の臀部を刺していたようだ。
キツネのような見た目と、獲物を見つけたときの「吠え声」が、その特徴として知られている。ヨーロッパから探検家らがカナダに来たときに、様々な新しい犬種が持ち込まれ、結果として、交配が進み、タールタン・ベア・ドッグの血統が薄まっていった。1960~1970年頃には、純血種の記録はなくなっている。
オールド・スパニッシュ・ポインター
![Old Spanish Pointer Old Spanish Pointer](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Spanish-Pointer-George-Stubbs-42873.jpg)
スペイン原産のオールド・スパニッシュ・ポインター(スペイン語ではperro de punta español)は、現代のポインター犬すべてに繋がる祖先であると考えられている。だいたい成犬は、体高26インチ、体重は55~65ポンドにまで成長する。一般的には鳥の狩猟に使われていた。
イギリスに持ち込まれたのは、17世紀から18世紀頃だったが、イギリス人は、もっと攻撃的で、敏捷かつ、持久力のある犬を望み、オールド・スパニッシュ・ポインターには欠陥があると考えた。その結果、この温和で訓練しやすい犬は「改良」された。獣医であるデイヴィッド・テイラーは、オールド・スパニッシュ・ポインターとグレイハウンドやイングリッシュ・フォックスハウンドを交配させ、結果として、より細いイングリッシュ・ポインターが生まれたと記している。
コルドバ・ファイティング・ドッグ
![Cordoba Fighting Dog Cordoba Fighting Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Perro-de-pelea-cordobés-Escaparatedemascotas-52673.jpg?b=0&c=0&width=600&height=620&top=34&left=33&zoom=1.11111111111)
コルドバ・ドッグは、アルゼンチンの闘犬用や狩猟用、または番犬として繁殖されたが、元々は、スパニッシュ・ブルドッグやマスチフ、ブルテリア、ブルドッグ、ボクサー犬など、複数の犬種を交配させて生み出された犬種だ。この犬種は、攻撃的で、スタミナがあり、強固な体つきがその特徴だ。痛みに強く、また、死に至るまで闘い続ける犬としてもよく知られている。
コルドバ・ドッグは、オスとメス1頭ずつであれば、その小さなグループで狩りをすることもできるが、オスを2頭にすると、互いに攻撃し合うことになる可能性が高かった。死ぬまで闘うことが、この犬種が絶滅する大きな要因となったのだろう。
ペーズリー・テリア
![Paisley Terrier Paisley Terrier](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/15-Extinct-Dog-Breeds-Youve-Probably-Never-Heard-Of-78747.jpg)
スコットランド原産のペーズリー・テリアは、ペット用、そしてドッグショーを目的として生み出された。1894年、この犬種について「室内犬として素晴らしく、おもちゃよりもしっかりしたものが欲しい女性に最適」との記録が残されている。ペーズリー・テリアの特徴でもある、長い絹のような毛は、まるで人形の髪の毛をとかすようだと思われたのだろう。
19世紀に入り、ヨークシャーテリアやスカイテリアの人気が高まるにつれ、ペーズリー・テリアは徐々に姿を消していった。その結果、この犬種は絶滅に至る。
ブラク・デュピュイ
![Braque du Puy Braque du Puy](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/The-Braque-du-Puy-is-now-extinct_-60681.jpg)
ブラク・デュピュイは、フランスの低地で獲物を取るように生み出された狩猟犬だった。走るのが早く、体はしなやかで、白地にオレンジや赤味がかった茶色の斑点があることで知られている。ブラク・デュピュイはとても人気の犬種だったが、他のフランスの猟犬ほど有名ではなかった。
ブラク・デュピュイは自然に絶滅したが、ヨーロッパの辺境に、数こそ少ないが未だに存在し、稀にブリーダーから購入できると主張する人もいる。こうなると、何だか犬の闇市場のようだ。
ブレンバイザー
![Bullenbeisser Bullenbeisser](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Bullenbeisser-also-known-as-the-German-Bulldog-was-a-breed-of-dog-known-for-its-strength-and-agility_-The-breed-was-closely-relat-33035.jpg)
ブレンバイザーは、ジャーマン・ブルドッグとしても知られているが、16世紀あたりからその存在が知られており、元々は、神聖ローマ帝国時代のマスチフに由来すると信じられている。ブレンバイザーは「牡牛を噛む犬」という意味であるが、この犬種がブルベイティング(牡牛と闘わせる)やイノシシ猟に使われたことを考えると、納得だ。
この犬種を交配させて、今や世界でも人気の高いボクサー犬が生み出されたために、ブレンバイザーの名はよく知られている。ボクサー犬の人気に押され、ブレンバイザーの純血種は徐々にその数が減少し、第二次世界大戦が終わる頃までには、ブレンバイザーは完全に絶滅したとされる。
ロシアン・トラッカー
![Russian Tracker Russian Tracker](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Russian-Tracker-72337.jpg)
この写真の可愛らしい犬は、一見、ゴールデンレトリーバーのように見えるが、実は、ロシアン・トラッカーという犬種だ。このロシア原産の犬は、数百年もの間、コーカサス山脈に住むインド・アーリア人の牧羊犬として使われた。敏捷さと知恵を併せ持つ犬種として知られている。
言い伝えによると、この賢く、能力の高い犬種は、人間の助けを借りることなく、数ヶ月もの間、自分達のみならず、羊の面倒を見て、生かしておけるという。研究者らは、この犬種がなぜ絶滅に至ったのかについて不明だとしているが、1800年代後半に見つかった例もある。
クリ
![Kurī Kurī](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/These-Strange-Extinct-Dog-Breeds-Are-Rarely-Talked-About-But-Deserve-To-Be-Remembered-41588.jpg)
クリはポリネシアの犬という意味のマオリの名前だ。マオリ族の言い伝えによると、半神半人のマウイ(そう、ディズニー映画「モアナと伝説の海」でザ・ロックが演じた役柄だ)は、義弟イラワルを最初のクリに変えたという。家庭内の修羅場とは、まさにこのことだ。
クリは、マオリ族らが、13世紀に東ポリネシアからニュージーランドに渡ってきたときに連れてこられた。クリはもじゃもじゃの尻尾に、短い足、がっちりした肩を特徴とし、鳥を狩ることができることで知られている。多くのポリネシアの犬種同様、クリは吠える代わりに遠吠えをする。1860年代に絶滅したと考えられているが、クリはヨーロッパの犬との異種交配を生き抜けなかったのだ。
アルゼンチン・ポーラー・ドッグ
![Argentine Polar Dog Argentine Polar Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Perro-Polar-Argentino-Escaparatedemascotas-61914.jpg)
アルゼンチン・ポーラー・ドッグは、南極基地にそり犬を配備するためという、たった1つの目的のためにアルゼンチン軍によって生み出された。この犬種には、ウールを含む3層の毛があるため、寒い状況下でも生き延びることができた。アルゼンチン・ポーラー・ドッグは、兵隊らが氷の割れ目や穴に落ちないよう、そりを引いていた。また、吹雪の中でも方角に鋭い感覚を持っていたことでも知られている。
この犬種は、環境保護に関する南極条約議定書に従って、アルゼンチン軍が南極から撤退した1994年に絶滅した。
チリバヤ・ドッグ
![Chiribaya Dog Chiribaya Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Dog-Mummies-Found-in-Ancient-Peru-Pet-Cemetery-1-73331.jpg)
チリバヤ・ドッグは、古代ペルー南西部で、ラマの牧畜犬として使われた。体高が高いというよりはむしろ、体長が長く、短い足に、突き出た鼻、そして毛が長かった。英国放送協会BBCは、後に、チリバヤ・ドッグは小さなゴールデンレトリーバーのようだと述べている。
すべての犬がそうであるべきだが、このチリバヤ・ドッグは、生きているときはもとより、死んでからも特別に扱われ、尊ばれていた。チリバヤ人は犬の墓を作り、友人であるかのように称えたという。埋葬するときには、来世を楽しめるように、毛布やおやつまで入れていたそうだ。この話に感動して泣いているのは、あなたの方だろう。
ウェルシュ・ヒルマン
![Welsh Hillman Welsh Hillman](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Welsh-hillman-Yahoo-Image-Search-Results-55735.jpg)
この敏捷で、勇敢な犬は、ウェールズで牛の牧畜犬として使われた犬種の一部だ。ウェルシュ・ヒルマンは、大きいが華奢な犬で、その見た目はジャーマンシェパードと似ており、ウェールズの牧畜犬を祖先に持つと考えられている。耳はとがっており、薄いベージュ色の毛並みに、背中が黒、お腹と足が白、尻尾の先も白という見た目が特徴だ。
青味がかった灰色の犬もいたようだが、非常に稀だったようだ。ウェルシュ・ヒルマンは、1990年頃に絶滅したと考えられている。
ノースカントリー・ビーグル
![North Country Beagle North Country Beagle](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/NORTHC1.jpg-92407.JPG)
ノースカントリー・ビーグルは、19世紀頃まで、嗅覚を使う猟犬としてイギリスで使われていた。この犬種は、大型で、骨ばった体つきをし、平たい額に長い耳が特徴だ。敏捷であるため、狩猟にはもってこいだった。1809年のイギリス百科事典において、ウィリアム・ニコルソンは、「夕飯前に、2匹のウサギを探し出すこと」もこの犬にとっては簡単なことだと述べている。
ノースカントリー・ビーグルは、18世紀に入って、猟師がより早い犬種を使うようになると人気も下火となった。絶滅の正確な日付はわからないが、純血種は異種交配によっていなくなったものと思われる。
ヘア・インディアン・ドッグ
![hare indian dog Depiction of a Hare Indian dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/hare-indian-dog-74459.jpg)
ヘア・インディアン・ドッグは、家畜化されたコヨーテという意味で、コイドッグと呼ばれる。カナダ北部で狩猟のために生み出された犬種だ。長い足と突き出た鼻、もじゃもじゃの尻尾が特徴的なヘア・インディアン・ドッグは、穏やかな気質ではなかったものの、遊ぶことが好きで、人懐っこかったようだ。
先住民であるヘア・インディアンらの伝統的な狩猟技術の衰えに伴い、この犬種の必要性もなくなっていった。その後まもなく、ヘア・インディアン・ドッグは絶滅した。中には、現代にもこの犬種を改良した犬がいると主張する人もいるが、研究者らはその主張を支持していない。
チズム
![Tesem depictions Depiction of Ancient Egyptian hunting dog breed, Tesem](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Tesem-depictions.jpg-44579.JPG)
この写真の犬が、古代エジプトの神のように見えるだろうか。だが、これは古代エジプトの狩猟犬だ。この時代の文献には、チズムの耳はピンと立っており、くるんと尻尾は巻いていると描写されている。しかしながら、たれ耳だったという説もあるため、真偽は定かではない。チズムは、現代のグレーハウンドにそっくりだ。
チズムは、紀元前2609年頃には既に存在していたと推測されている。アクバルという犬がかの有名なクフ王に伴われたという。さらに、エジプト中王国期~エジプト新王国期にかけての文献にもしばしば登場している。チズムがいつ絶滅したのかについては不明だが、最後に文献に登場しているのは、紀元前1069年頃だ。
ドゴ・クバノ
![cuban mastiff The now-extinct Dogo Cubano](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/cuban-mastiff.jpg-79039.JPG)
犬「ドッグ」は「ドゴ(わんちゃん)」と呼ばれることもあるが、本当の意味でのドゴは、キューバン・マスチフ、またはキューバン・ブラッドハウンドとしても知られるこのドゴ・クバノだ。ドゴ・クバノは、ブルマスチフの犬種にそっくりで、元々は、闘犬や牧畜犬として繁殖された犬種だ。
奴隷貿易が行われていた時代には、ドゴ・クバノは逃げ出した奴隷を捕まえるために使われていた。1886年に奴隷制度が廃止されて以降、繁殖されることはなくなり、20世紀まで生き延びた純血種のドゴ・クバノはほとんどいない。しかしながら、この犬種から、現代のアメリカン・ピット・ブル・テリアが生み出されている。
シャン・グリ
![Chien-gris Now-extinct Chien-gris scenthounds](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Chien-gris-dog-0-16-screenshot-24757.jpg)
グリ・ド・サン・ルイとも呼ばれるシャン・グリは、中世フランスにおいて、嗅覚を使って猟師を助ける狩猟犬だった。その名前は、「聖者ルイのグレーハウンド」という意味だが、現代のグレーハウンドとは似ていない。ぼさぼさの毛を持ち、黄褐色または赤い足をしている。
シャルル9世によると、聖者ルイが初めてシャン・グリを見たのは、十字軍の遠征で捕虜になったときだったという。頭数が減り始めたのがいつなのか、そして、なぜなのかについては定かではない。19世紀までには、セント・ヒューバートが、この犬種を見つけることは不可能だと述べている。歴史学者らは、この犬種が主に繁殖されていたのは、1250年~1470年の間だと推測している。
ブルー・ポール・テリア
![blue paul terrier The extinct Blue Paul Terrier, or Blue Poll](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/blue-paul-terrier.jpg-83899.JPG)
ブルー・ポールとも呼ばれたブルー・ポール・テリアについては、そのほとんどが知られていない。ただ1つ知られていることとしては、かつて、スコットランドにおいて、闘犬用に人気の犬種だったということだ。しかしながら、歴史学者らは、この犬種の起源などは不明のままであるという。ポール・ジョーンズが最初にスコットランドに連れてきたとも、ロマ民族が持ち込んだとも言われている。
描かれている絵をもとに、研究者らは、ブルー・ポール・テリアは、ブルドッグとテリアを交配させた犬種だろうと推測している。19世紀に人気を博したが、20世紀までに姿を消している。グレーハウンドのように、ブルー・ポール・テリアも濃い青の毛並みだ。
モスコー・ウォーター・ドッグ
![Moscow water dog The Moscow Water Dog was bred to save people, but it is now extinct](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Moscow-water-dog-92537.jpg?b=0&c=0&width=1200&height=900&top=108&left=175&zoom=1.23456790123)
モスコー・ウォーター・ドッグの存在がなければ、現代のブラック・ロシアン・テリアは作出されなかったことだろう。第二次世界大戦で大多数の軍用犬が死んでしまったために、ソビエト連邦は、戦後、ニューファンドランド、イースト・ヨーロピアン・シェパード、コーカシアン・シェパード・ドッグを交配させて、この犬種を作出した。
当初、モスコー・ウォーター・ドッグは、水難時の人命救助のために繁殖されたが、O・クラスノフスカヤによると、「溺れている人を助けようとしないばかりか、噛みつこうとしていたため、これは失敗だった」という。そのため、ブリーダーはモスコー・ウォーター・ドッグを繁殖させるのをやめた。
モロサス
![American Molossus Modern American Molossus, a recreation of the ancient Greek Molassus](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/AMERICAN-MOLOSSUS_-RECREATING-AN-ANCIENT-DOG-BREED-4-14-screenshot-75854.jpg)
いや、甘い糖蜜を意味するモラセスではなく、モロサスだ。モロサスは、7000年前までさかのぼることができる古代の犬種で、マスチフの祖先であると考えられている。かのローマ帝国は、モロサスにスパイクのついた首輪と鎖かたびらを装着させ、戦闘に連れ出した。
歴史学者の多くは、モロサスが、様々なハウンド犬を作出した古代エピラスのモロッシス人が生み出した説を支持している。モロサスはすでに絶滅しているが、慎重に交配を重ねることによって、この犬種を再現しようとするブリーダーもいる。イタリアでは、1匹あたり5000ドルほどで「モロサス犬」の仔犬が購入できるようだ。
ポイ・ドッグ
![poi dog The extinct Hawaiian Poi Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/poi-dog-60874.jpg)
かつて、ハワイアン・ポイ・ドッグは、ハワイの家族を守っていたという。子ども達の霊的守護者と考えられていたが、食用にされることもあった。ポイ・ドッグの起源はインドネシアにあるようだが、狩猟に使われた試しはない。結局のところ、ハワイ諸島にはブタより大きい哺乳類はいないためだ。
ポイ・ドッグには、幸運のお守りと、食用と、2つの役割があった。そのうち、犬肉を食すことが少なくなり、結果的に、ポイ・ドッグの数が減っていった。歴史学者らは、いつポイ・ドッグが絶滅に至ったのか不明だとしているが、20世紀にはその姿を消している。
テチチ
![Techichi Drawing of Techichi](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Techichi-44032.jpg)
テチチは現在のチワワの祖先で、その歴史はコロンブス以前までさかのぼることができる。この小さく、穏やかな犬が最初に歴史上に現れたのは、9世紀のメキシコのトルテカ帝国の人々が記した記録によるものだ。テチチは、今日のチワワよりも、がっしりして、生意気そうに見える。歴史学者らの中には、テチチには宗教的な象徴としての意味合いが持たされていたのではないかと唱える者もいるが、この主張を裏付ける証拠は十分にはない。
研究者らは、なぜこのテチチが消えてしまったのかについて、不明であるとしている。1つには、スペインからやってきた探検家や調査団が、テチチを乱獲したのが理由との説もある。他にも、交配が進み、純血種がいなくなったとする説もある。テチチから派生した犬種の1つが、チャイニーズ・クレステッド・ドッグだ。
イングリッシュ・ホワイト・テリア
![English White Terrier Extinct English White Terrier, 1896](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/English-White-Terrier-37018.jpg)
イングリッシュ・ホワイト・テリアは存在した期間が短かったため、そのほとんどについて知られていない。1860年代、ブリーダーらは、ジャック・ラッセル・テリアを含む新しい使役犬を品種改良したが、イングリッシュ・ホワイト・テリアには遺伝的な問題があり、不人気となった。
ケンネルクラブに登録されてから30年以内に、イングリッシュ・ホワイト・テリアは絶滅に至ったとされる。ボストンテリアやブルテリアの流れをくんでいる。ピンとたった耳と、滑らかで白い毛並みを持つイングリッシュ・ホワイト・テリアは、1890年代には姿を消した。
ハストレアドール・ブラジレイロ
![Urrador Urrador, also called the extinct Rastreador Brasileiro](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Urrador-46749.jpg)
ハストレアドール・ブラジレイロは1967年に初めて登録されたが、病気のまん延やその過剰投薬によって、1973年に絶滅。最も最近に絶滅した犬種とされる。元々は、ブラジルで嗅覚を使ったハウンド犬として生み出された。
ハストレアドール・ブラジレイロは、ウラドールとも呼ばれ、その毛色も様々だったが、常に短毛で、そのコートは滑らかなのが特徴だ。アメリカン・クーンハウンドによく似ている。近年では、ブラジル ケンネルクラブがこの犬種の再生に尽力している。
ノーフォーク・スパニエル
![norfolk spaniel George Stubbs, 1724-1806, British, Brown and White Norfolk or Water Spaniel](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/norfolk-spaniel-48035.jpg)
この写真の犬は、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルに似ているが、実際には1900年代に絶滅したノーフォーク・スパニエルだ。元々ノーフォーク公爵が連れてきた犬だという説もあるが、歴史学者らは、この説を支持していない。ノーフォーク・スパニエルは、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルをそのまま大きくしたような犬だ。
ノーフォーク・スパニエルは、怒りを見せることがあるものの、飼い主に強い愛着を示す。頑固で、わがままであり、「騒がしい」性分だと描写されている。猟犬ほど大きな声ではないものの、猟犬と似たような声をあげる。この犬種は、狩猟や航海に使われた。
オールド・イングリッシュ・ブルドッグ
![old english bulldog old english bulldog painting by Philip Reynagla, 1790](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/old-english-bulldog-78874.jpg)
このオールド・イングリッシュ・ブルドッグは、現代のブルドッグをより大きく、がっしりとした体つきにしたような犬種だ。19世紀初頭、イギリス人らは、この犬種をブルベイティング(牡牛と闘わせる)や闘犬に使っていたが、1835年にイギリスで動物虐待禁止法が定められた後、この犬種は徐々に人気を失った。
悲しいことに、オールド・イングリッシュ・ブルドッグは19世紀後半には絶滅したが、この犬種を再現しようとするブリーダーもいるようだ。特に、1970年代のリービット・ブルドッグはオールド・イングリッシュ・ブルドッグとよく似ている。
コトン・ド・レユニオン
![look alike Coton de Reunion The Coton de Tulear is a descendent of the now-extinct Coton de Reunion](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/look-alike-Coton-de-Reunion-28220.jpg)
コトン・ド・レユニオンは、マダガスカル島からおよそ500マイルのところに位置するアフリカのレユニオン島で見られるビションタイプの犬だ。言い伝えによると、この犬種は、フランスもしくはカナリア諸島から持ち込まれたようだ。いずれにせよ、コトン・ド・レユニオンは船に持ち込まれたが、その船が難破したため、広大なインド洋を泳いでレユニオン島に到着したというのだ。
コトン・ド・レユニオンの犬種が存在していた場所が、他から離れているために、そのほとんどについて情報があまりなく、いつ絶滅したのかについても明らかになっていない。だが、コトン・ド・レユニオンが後に、現代のコトン・ド・テュレアールの基になっていることは分かっている。
アーラント
![alaunt Alaunt dog painting by Ulisse Aldrovandi](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/alaunt-46088.jpg)
アーラントは、古代から17世紀に、中央アジアからヨーロッパにかけて人気を博した犬種だった。頭の形の異なる部分を除き、すべて大型で、短毛の犬だ。実際、紀元前1200年頃に、アーラントを交配させてモロサスを生み出している。
フランスにおいて、アーラントは徐々にアーラント・ジャンティー(グレーハウンドのような犬)、アーラント・ヴェアントレ(狩猟犬)、アーラント・ブッシュリー(マスチフのような犬)の3種類に分かれる。これらの犬種がどのようにして絶滅に至ったのか定かではないが、交配により純血種が失われたという見方が大半のようだ。
セルティック・ハウンド
![celtic dogs Artistic depictions of Celtic Hounds](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/celtic-dogs-93338.jpg)
セルティック・ハウンドは、かつてのゲーリック・アイルランド(ゲール人が存在していた時代)にまでさかのぼり、複数の犬種のことを示していた。定義が難しいこのセルティック・ハウンドは、アイルランドの伝説において記述があるのみで、ほとんど知られていない。現存する絵を見ると、グレーハウンドやアイリッシュ・ウルフハウンドによく似ている。
セルティック・ハウンドは、17世紀の宝石類に飾りとして見られる。セルティック・ハウンドは、魂を来世に導くものと信じられていたため、狩猟や来世のシンボルとして用いられたのだ。ティロリアン・ハウンドやガルゴ・エスパニョール、オーストリアン・ブラック・アンド・タン・ハウンドなどは、このセルティック・ハウンドから生み出されたと考えられている。
ディアブロ・ドッグ
![dalbo dog Man with extinct Dalbo Dog](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/dalbo-dog.jpg-71655.JPG)
ディアブロ・ドッグは、スウェーデンにおいて、家畜を守る牧畜犬だった。ダールスランド・マスチフとも呼ばれるこの犬は、放牧されている牛や羊、ヤギや馬を外敵から守るために繁殖された。歴史学者らは、1913年に行われた犬種確認において、ディアブロ・ドッグがまったく見られなかったため、この犬種が絶滅したのは1870年頃だろうと見ている。
ディアブロ・ドッグについては、古くはアイスランドのサガ(古北欧語で書かれた散文作品)にその描写がある。サガにおいて、この犬種は大型で、コートは柔らかく、厚みがあるとされている。毛色は濃く、中にはセント・バーナードのように白斑のあるものもいた。歴史学者らは、1867年にスウェーデンで起こった大飢饉か、1854年にまん延した狂犬病によって、この犬種が絶滅したのだろうという説を唱えている。
テルセイラ・マスチフ
![mastiff puppy Puppy Terceira Mastiff](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/mastiff-puppy-54276.jpg)
テルセイラ・マスチフは、1970年代に一度絶滅したとされるポルトガル原産の犬種だが、他の犬種と異なり、見事に復活を果たしている。フィラ・ブラジレイロの祖先でもある。言い伝えによると、テルセイラ・マスチフは、海賊らが闘犬に使うために人気だったという。
ラボ・トルトとも呼ばれるこの犬種は、1880年頃にすでに絶滅の危機に瀕しており、1960年代に、ブリーダーらが再現させようと努力したが、政府関係者らとの折り合いがつかなかった。テルセイラ・マスチフが絶滅したとされる頃までに、アゾレス諸島に数頭の生き残りがいた。ブリーダーらはこの死にゆく犬種の復活を試み、成功させたのだった。
フィージアン・ドッグ
![fuegian dog The Fuegian dog was a domesticated culpeo, the second largest canid of South America, not a wolf like our domesticate dog. They were used by the indigenous Yaghan peoples to hunt otters and cuddle them for warmth.](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/fuegian-dog-39915.jpg)
フィージアン・ドッグは、家畜化された初期のキツネだ。ヤハン・ドッグとも呼ばれたこの犬種は、アカギツネとハイイロオオカミに由来する。チリに検体が少し残っているかもしれないが、ほぼ絶滅している。
フィージアン・ドッグの特徴としては、ピンとたった耳、細く突き出た鼻、もじゃもじゃの尻尾が挙げられる。現存する絵を見ると、シェトランド・シープドッグと同じくらいの大きさであることが見てとれる。家畜化されたものの、飼い主になつくことはなかった。攻撃的ではなかったものの、今日のペットのようになることもなかった。歴史学者らは、カワウソを捕まえるためにフィージアン・ドッグを使っていたのではないかと推測している。
ラポニアン・シェパード
![Laponian herder Laponian herder, descendent of Lapponian Shepherds](https://www.japacrunch.com/wp-content/uploads/2019/09/Laponian-herder-73664.jpg)
名前こそ、ラポニアン・シェパードだが、ラップランドに起源があるというわけではない。原産はフィンランド南部で、コックヒルズ・フィニッシュ・ラップハウンドとも呼ばれた。ラポニアン・シェパードは、1930年代に、フィニッシュ・ラップハウンドと、カレリアン・ベア・ドッグを交配させて生み出された犬種だ。
この犬種が公式に登録されたのは1945年のことだったが、頭数は減少し、ラポニアン・シェパードは絶滅していった。しかし、その血筋は現代のフィニッシュ・ラップハンドに受け継がれている。フィニッシュ・ラップハンドの祖先らしく、ラポニアン・シェパードは、ふわふわの毛を持ちながら、ジャーマンシェパードとオオカミのような見た目を併せ持っている。