袋に入った餌にしか興味を示さないネコ、その理由に人々は涙する

ノラ猫暮らしは決して楽ではない。餌にありつければラッキーだし、毎日を何不自由なく生きて行くことができれば儲けものだ。韓国のとあるノラ猫にとっても、日々の暮らしは決して楽ではなかった。その状況を見かねた人達が餌を与えようとしても、そのネコは決して口にしようとせず、人々を困惑させた。理由が分からず、ただどうしてこのネコは餌を食べようとしないのだろうか。と考えてばかりだった。しかし、どうやら袋の中に入っている餌であれば食べるということに気づいたとき、ついにその謎が明らかになる。この奇妙な行動をとったネコに隠されていた事実は、ハリウッドでも見られないような心温まる物語だったのだ。

群れから離れた1匹のネコ

korean volunteer feeds feral cats
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動物の暮らしを良くしようとしても、時には心の痛むようなこともある。韓国のある女性は、近所のノラ猫に餌をやることを日課としていた。地域のシェルターでボランティアをしていることもあって、ネコの餌を比較的容易に手に入れることができたため、近所のノラ猫にも分けてあげようと思ったのだ。

このボランティアの女性は、5年間もの間、餌を容器に入れてノラ猫らに与え続けていた。ほとんどの場合、ネコは喜んで餌にありついていた。ただ1匹を除いては。そして、それには信じられない理由があったのだ。

ネコのドンソク、食べようとしない

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ドンソクと名付けられたそのネコは、他のノラ猫らと同じように餌を与える場に姿を見せるものの、決して食べようとしなかった。そればかりか、女性に餌をもらう代わりに他で食べ物を探そうと、すぐに踵を返しその場から立ち去るのだった。

それでもドンソクは、毎日女性が餌を持ってやってくる時間に姿を見せた。どうやら餌をもらうことを嫌がっているわけではなさそうだった。単に、女性が与える餌が気に入らないのかもしれない。もしくは、餌の与えられ方が気に入らないのかもしれない。そう女性は考え始めていた。どうしてドンソクは容器に入った餌を食べたがらないのだろうか。

まず、餌の種類を変えてみた

dongsuk investigates food
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ドンソクが食べようとしないため、ボランティア女性は、餌の種類を変えてみることにした。ネコは食べ物にこだわる傾向があり、好きな食べ物でなければ、それがどんなに良い食べ物でも食べようとしないこともある。

ドンソクはもしかしたら食べ物にこだわりのあるネコなのかもしれない。そう思った女性は、数種類のドライフードを試してみた。ドンソクは、どんなメーカーのどんな種類のものも食べようとしなかった。次に女性は缶詰の餌を与えてみた。それでもドンソクは頑なに餌を食べようとしなかったのだ。

袋に入れたらどうだろう?

dongsuk takes a bag of food
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ドンソクが餌を食べようとしない謎を解き明かそうと、ボランティアの女性は、これまでとは全く違った視点から考えてみた。ドンソクが食べ物を欲しがっていないのであれば、毎日女性が餌を持ってくる時間に姿を見せるはずはない。ドンソクが飢えてしまわないように、どうやってドンソクに餌を与えることができるのかを考えなければならなかった。

ある日、女性はドンソクの餌を袋に入れた。もしかしたら、恥ずかしがって食べないだけかもしれないと考えたのだ。そして、この推測は当たっていた!ドンソクは餌の入った袋を奪い取ると、見えないところに走り去っていったのだ。

ドンソクにまつわる新たな謎が浮上

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ボランティアの女性は、ドンソクがついに食べ物を受け取ったことが嬉しくてたまらなかった。この日から毎日、女性はドンソクのために食べ物を袋の中に入れて用意した。一方でドンソクは、毎回、女性から食べ物の入った袋をもらうと走り去っていくのだった。

ドンソクは一体どこに食べ物を持って行っているのだろうか。ドンソクの奇妙な行動に女性は好奇心を抱くようになる。容器に入った餌を決して食べることなく、袋に入ったものだけを受け取るのはなぜだろうか。

なぜ袋に入った餌だけ受け取るのか

dongsuk is going somewhere with her food
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はじめ、ボランティアの女性は、なぜドンソクが袋に入った餌だけ欲しがるのかまったく理解できなかった。容器に入れてある方が食べやすいはずなのに。どうして他のネコたちのように普通に餌を食べないのだろうか。謎は深まるばかりだったが、女性はその理由を知りたくなっていた。

必ず、何らかの理由があるはずだ。友人に助言をもらった女性は、この謎を解き明かそうと計画を立てた。この時点では予想だにしなかったことだが、真実は心温まるものだった。

ドンソクは食べ物をどこに持って行っていたのだろうか

dongsuk picking up her bag of food
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ネコの中には奇妙な行動をとるものもいるが、ドンソクの奇妙な行動にボランティアの女性は心配になっていた。一体ドンソクはどこに食べ物を持って行っているのだろうか。当初は誰もいないところで食べたいのだろうと何気なく考えていた女性だが、他のネコたちが女性の目の前で餌を食べていることを考えても、ドンソクが走り去って行く本当の理由は何なのか、見当もつかなかった。

おそらくドンソクは人間を信用していないのかもしれない。毎日食べ物をもらうために勇気を出して女性に近づき、餌を受け取ると走り去ってしまうだけなのかもしれない。もしかしたら、もっと何か理由があるのかもしれない。

捜査の開始

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ある日、ドンソクの謎を解き明かそうと、ボランティアの女性は友人らと団結し、走り去るドンソクを追った。もちろん、それはたやすいことではない。走り去るドンソクに気づかれないよう、距離を詰め過ぎず、かつ、見失わないように後を追った。

もしも、ドンソクが後を追う人間らに気づいたなら、結果は悲惨なものとなる。ドンソクの信頼を得るまでに長いことかかった上、その信頼を失ってしまったらどうなることだろうか。ドンソクがその後餌を取りに来なかったら、どうやって生きていくのだろう。ボランティアの女性からもらう餌がおそらくドンソクが毎日得ている食事の大半を占めているはずだ。必ずドンソクに見つからないようにしなければならなかった。

ドンソクの足どりを辿って

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捜査チームは距離を保ったまま、餌の入った袋を抱えたドンソクの後を追い続けた。女性が餌を持ち寄ってノラ猫らに与えていた場所からどんどんと離れていくドンソクに、皆戸惑いを隠せなかった。毎日何かしらの理由で、こんなに遠くの距離を移動してドンソクは餌を受け取りにきていたのだ。さて、ついにその理由が明らかになる。

ついにドンソクが辿り着いたのは、廃ビルの通路だった。まるでホラー映画の始まりのようだ。もちろん、建物内にホラーの要素はまったくなかったけれども。

ドンソク、まだ食べようとしない

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建物の中に入ったドンソクは、ようやく餌の入った袋を置き、歩調を緩めた。決して、何か恐ろしい怪物を召喚しようとしていたわけではない。だが、何かに怯えている様子だった。ドンソクは神経質そうにウロウロと歩き回っていて、一向にくつろぐ様子はなかった。

この時点で、ドンソクは人間が自分を追ってきたことに気づいていたため、もしかしたら人間のいる前で食べ物を口にしたくなかったのかもしれない。ボランティア女性と友人らは、人間がいなくなれば少しはリラックスするのではないかと考えた。

新たな展開

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しばらくして、ドンソクは鳴き始めた。この時、友人らはドンソクが何かを待っていることに気づいた。その後すぐに、何を待っていたのか分かった。どこからともなく 赤茶色の仔ネコが現れ、ドンソクの方に駆け寄ったのだ。

ドンソクは母ネコだったのだ!毎日、ドンソクは自分だけでなく、子どもに餌をやろうとしていたのだ。だから袋に入った餌のみを持ち去っていたのだ!こうして餌を持ち帰って、仔ネコに餌を与えていたのだ。

ドンソク、ついに食べ物を口にする

dongsuk finally eats
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ボランティアの女性と友人らは、この母ネコの無私無欲な行動を見届けるためにその場にとどまっていた。ドンソクは餌の入った袋を仔ネコの前に置くと、先に仔ネコに餌を食べさせていた。仔ネコは袋を破るとお腹いっぱいになるまで食べた。

そして仔ネコが食べ終わったことを確認すると、ドンソクは自分も食べ始めた。ボランティアの女性だけでなく、友人らも、目の前で繰り広げられた母の無償の愛に涙した。もちろん、この話はこれで終わりではない。

救出劇の開始

dongusk waits for food
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毎日ドンソクが、仔ネコがお腹いっぱい食べられるようにしていることを目撃したボランティアの女性や友人らは、ドンソクらのために何とかしなければならないと思った。まず、ドンソクを知っている人がいないか、いなくなったネコを探している飼い主がいないかどうか、その近辺の住民に聞いて回った。

このノラ猫が自分の飼い猫だという人は誰もいなかった。長いこと、ドンソクはノラ猫として暮らしてきたのだろう。そして近辺に暮らす住民の中にはノラ猫のドンソクのことを知っている人もおり、ドンソクについての悲しい話を聞くこともできた。

ドンソクに起こった悲劇

dongsuks sad past revealed
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近辺の住民にドンソクについて聞いて回った友人らは、これまでにドンソクに起こった悲劇についても聞くことができた。その人の話によると、ドンソクには元々5匹の仔ネコがいたようだ。

ドンソクにとって人生は不公平なものだった。仔ネコを養うために必死に力を尽くしたが、やがて4匹の命が失われてしまったのだ。今や1匹の仔ネコしか手元に残っておらず、その仔ネコがドンソクにとってはすべてだった。何をしてでもこの仔ネコが大きくなるまで育てなければならないとでも決意しているかのようだった。ドンソクに必要なのは、ハッピーエンドだけだ。

ドンソク、初めて与えられた毛布

dongsuk gets a blanket
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ボランティアの女性と友人らは、ドンソクと仔ネコを救い出すための方法を考えなければならないが、そのためにももっと強い信頼を得なければならないとも考えていた。そのまず第一歩として、ドンソクらの住処に戻ったチームはネコらに毛布を与えた。

これで自分達はドンソクらの敵ではない、と信用してもらえるためのきっかけになれば、とチームは考えたのだ。しかし、信用は1日にしてならず。まだドンソクも仔ネコも人間らに抱いていた警戒心を解くことはなかった。

毎日少しずつの変化

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毛布を与えた後にも、毎日ボランティア女性らのチームはドンソクらの様子を見に、住処に足を運んだ。チームのメンバーによると、その後、ドンソクは次第に打ち解けていったという。

一方で、ドンソクの仔ネコは人間と打ち解ける様子は見られなかったようだ。餌を与えていた女性を見知っていたドンソクと違って、仔ネコの方はといえば、ドンソクが運んできた餌を食べていただけで、これまでに人間と何の関係性も持っていないため、これは仕方のないことだった。

信頼は待つことができた者のみに与えられる

gaining trust wit cat
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ボランティア女性の友人らからなるチームは、我慢が必要とされる状況に慣れており、毎日餌を与えていれば、そのうち打ち解けてくれることも知っていた。今や、飢えて死んでしまうリスクはないのだから、このネコたちに望むことといえば、安全に暮らしてほしいということだけだった。

やがて、仔ネコの方も人間に慣れてきた。もしかしたら人間のことはあまり好きではないのかもしれないが、それでも毎日餌を持って訪れる人間は、害を与える存在ではないことを理解しているようだった。ドンソクと仔ネコ、両方から信頼が得られていると感じたボランティアらは、次にすべきこととして、新たな飼い主を探すことだと考えた。

本当の救出、始まる

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時間をかけてドンソクと仔ネコから信頼を得ようとした主な理由は、2匹のネコたちを助けるためだった。新たな飼い主を見つけるためにも、ネコを捕獲しなければならず、そのためにネコが怖がるかもしれない網などを使わなければならなかった。

2匹はノラ猫だったため、抱きかかえて移動するのは安全とは言えなかった。そして2匹を安全な場所に移すためにも、網を使って捕獲しなければならなかったのだ。写真の網をご覧いただきたい。信頼がなければ、これを使って捕獲することがいかに難しいことになるか、想像にかたくない。

ドンソク、初めての家

dongsuk new home
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ドンソクと仔ネコは新たな飼い主に引き取られる前に、シェルターに引き取られたが、そこでは自分達の小さな家が与えられた。写真をご覧いただきたい。どう見ても、前の住処よりも豪華だ!さらに2匹とも、ここで、容器に入った餌や水を飲み始めている。

ノラ猫の未来は明るくなりそうだった。後は飼い主を探すだけだ。そして、重要なのは、2匹を一緒に引き取ってくれることが大前提だった。

この話から得られる教訓とは

dongsuk plays with daughter
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ドンソクと仔ネコの物語は、これまでに聞いた中でも最も感動的な物語の1つだ。母ネコが子どもの健康を何よりも優先していたことも心を揺さぶられる。特に、4匹の仔ネコの命を失った悲劇を聞いた後では、特にドンソクの思いやりには涙が出てしまう。

この物語は母親の無償の愛だけでなく、ボランティア女性と友人らの良い行いについても記している。ボランティアの女性や友人らは、毎日毎日、ネコに餌を与え続けるだけでなく、この2匹のためにできる限りのことをやり続け、結果的に2匹を安全な場所に住まわせることに成功している。

2匹の親友、どちらも自分だけ救出されるのを嫌がる

Dogs1

この2匹の可哀想な犬達は飼い主に捨てられた後、何ヶ月もの間、ロサンゼルスの郊外にあるトラックヤードに住みつき、ウロウロと食べ物を探していた。

この2匹は野良犬となった後、ロサンゼルス郊外のトラックヤードを住みかにして共に過ごしていた。トラックヤードの近くで勤務する心優しい女性が何ヶ月にもわたって餌を与えていたものの、互い以外の存在を信用していないようで、保護のために現場に駆けつけた保護チームにさえも警戒心をあらわにしていた。

親友

Dog2

この2匹はいつも一緒だった。それぞれが通りをウロウロと何か食べられる物を探しに行っても、その後また互いを探しては2匹で過ごしていた。

かつては人に飼われていた犬が野良犬となると、飢え死にしてしまう可能性が高い。しかし、こうして2匹が共に過ごすことで生存率が上がっていたばかりではなく、互いの存在で心細さも紛らわせていたのだろう。この世界には互いしか信頼できるものはおらず、2匹は自分達の力で何とかその日その日を暮らしていた。

生存本能

Dog3

もしかしたら犬は完全に自立でき、自力で生きていかなければならなくなったとしてもそれは可能なのではないかと思うかもしれないが、実は必ずしもそうではない。かつて飼い犬として人間に世話をしてもらっていた犬は、野生の犬ほどの生存本能を持っていないのだ。

かつて野生だった犬が持っていた生存本能は、何百年間もの間、繁殖によって抑えられてしまったり、飼いならされることによって鈍くなってしまっている。野良犬が飢え死にしてしまったり、どうやって野良犬として生きていけばいいのか分からずケガをしてしまうのも、こういった理由からだ。

仮住まいへ

この2匹は数週間通りをウロウロしていたが、ついにロサンゼルスの工場に隣接しているトラックヤードを仮住まいとすることに決めたようだ。ある日、工場で勤める女性が2匹の犬を見つけ、何とか助けてやりたいと思ったのだという。

2匹を引き取ることはできなかったが、女性は2匹に餌をやり始めた。6ヶ月以上もの間、工場で勤める女性は2匹が飢えることがないよう餌を与え続けた。2匹にとっては天使のような存在だったことだろう。

人生を変えるニュース

しかし、6ヶ月後、女性は状況を一変させるような知らせを受ける。女性は、もはや2匹に餌を与えることができなくなるほど遠い場所に異動しなければならなかった。つまり、2匹はこれまで通り餌をもらうことができなくなるのだ。

女性は2匹の犬がどうなるのか心配だった。誰か他の人が餌を与えてくれるだろうか。飢えてしまうことはないだろうか。飢えて、また残飯を探すためにウロウロしなければならなくなるのだろうか。女性は、何とかしなければならないと考えた。

助けを求めて

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いつも与えていた餌のおかげで暮らせていた犬たちはどうなるのだろうか。心配した女性は、2匹を助けてくれるかもしれない地元の動物保護団体『ホープ・フォー・ポーズ』を見つけ、何とかしてもらえないだろうかと頼んだ。

ホープ・フォー・ポーズは、助けを必要とする動物を保護し、必要であれば治療もするだけでなく、新たな飼い主を見つける手伝いもしている。だが、この2匹の野良犬を助けることはできるのだろうか。

ホープ・フォー・ポーズ

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ホープ・フォー・ポーズの創設メンバーの1人であるエルダッド・ハガーは、この2匹を助けるためにできることをやってみようと引き受けてくれた。その後、ハガーはこの2匹の住みかであるトラックヤードを確認し、その上でこの2匹にとってどうするのが一番良いだろうかと考えた。

ハガーは2匹が住みついているトラックヤードの状態を観察し、2匹が野良犬としてここで暮らしていくことはできないだろうと考えた。2匹にとって最も良い方法とは、やはり、彼らを保護して新しい家族を見つけることだった。

国際チーム

エルダッド・ハガーのチームには世界中から人々が集まり、動物のために世界をより良い場所にすることを目標としてボランティアをしている。オーストラリアやイギリス、コスタリカなど遠い国から参加している人もいる。ボランティアグループは、助けを必要とする動物らをどのようにして保護するのが一番良いかについて、いくつもの戦略を立てていた。

野良犬になった多くの動物は、かつて虐待を受けていたり、または面倒を見てもらえなかったりといったことから、人間に対して不信感を抱いていることも少なくない。ホープ・フォー・ポーズはこれまでにも多くの犬を保護した経験からも、この2匹の保護が決して簡単なものではないことも承知していた。

逃げたり、隠れたり

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ホープ・フォー・ポーズのチームがトラックヤードに着いたとき、彼らが抱いていた疑いは確信へと変わった。2匹の犬は、(餌をいつも置いてくれていた女性を除いて)人との関わりがまったくなく、知らない人達を明らかに警戒していた。

食べ物をちらつかせて、2匹を捕まえられるのであれば簡単だっただろうが、チームが近づくと2匹はすぐさま逃げて隠れるのだった。ハガーとチームは、トラックヤードからこの2匹をおびき出すには作戦を立てなければならないと考えた。そこで、ある計画を立てたのだ。

独創的な計画

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トラックヤードの所有者は、2匹を保護したいというチームに喜んで手を貸してくれた。この2匹をトラックヤードから出すために立てた計画は少し複雑なものだったため、このトラックヤードの所有者の協力が不可欠だった。

まず、犬が再び逃げて隠れてしまうことができないように、チームはトラックヤードの前面にプラスチック製の壁を作って、トラックヤードから逃げ場を無くした。そしてトラックヤードの所有者は、別の入り口からチームを中に入れたのだ。犬から徐々に信頼を得ながら、囲いこもうという作戦だった。

課題

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エルダッド・ハガーは救出後に、この時の計画について、そしてトラックヤードという独特な場所のせいでチームが直面した課題について報道機関に説明している。トラックヤードは広い場所であるにもかかわらず色々な障害物があるため、野良犬が住みついている場所を特定するのも困難だった。

「場所を特定した後は、犬たちを囲い込む必要がありました。」とハガーは語っている。「トラックの下での捕獲作戦だったため、私たちは常に頭をぶつけたりしないように注意しなければなりませんでしたし、保護するのは決して簡単ではありませんでした。」

1匹確保

ハガーとチームはオスの犬を手始めに捕まえることに集中した。トラックヤードに集まった人達の存在に怯えていたものの、犬は決して攻撃的にはならなかった。こうした状況下では、恐怖のあまり、救出しようとする人間を攻撃しようとする犬も少なくない中、このオス犬は攻撃的な一面を一切見せず、比較的おとなしそうに見えた。

ただ、攻撃してくる代わりに捕獲の手から逃げ回っていた。かなりの時間追っ手から逃げ回っていたのだが、チームの作戦通り最終的には周りを囲まれる。犬はずっと怯えた様子だったものの、最後にはチームのメンバーが近づくことを許し、ついに首にリードをつけられたのだった。

さて残るはもう1匹

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可哀想な犬は怯えていたものの、ホープ・フォー・ポーズの人達が自分を痛めつけようとしているわけではないことに気づき、次第に落ち着きを取り戻していった。少しずつ心を許していったのか、メンバーの1人に頭をなでることさえ許したのだった。

1匹が次第に落ち着き、状況に慣れようとしている間、チームはトラックヤードに隠れているメス犬の捕獲に移った。特に親友が捕まったのを知ってからは、メス犬はさらに逃げまどっていた。

追跡

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オス犬のリードをトラックヤードのフェンスに繋ぎ、ホープ・フォー・ポーズのメンバーはメス犬の保護にあたった。メンバーらが自分達は怖い存在ではないことを示そうとしても、メス犬は決して出てこようとはしなかった。トラックヤードに積まれた箱によじ登ったり、トラックの下に隠れたりして、追っ手から逃げ回るばかりだった。

ただ、メス犬が捕まるようなリスクを冒したのは一度だけだった。オス犬がフェンスに繋がれているのを見たメス犬は、オス犬が大丈夫なのかどうかを確認するために走って近寄ってきたのだ。このチャンスを逃すまいと、チームは捕獲に向かった。

逃げ続けるメス犬

周りを囲まれたにもかかわらず、メス犬は再びホープ・フォー・ポーズのボランティアらの手をかいくぐって逃げた。捕獲作戦はその後も10分かそこら続いただろうか、その間オス犬はフェンスに繋がれたままだった。やがて、メス犬ももう逃げ場がないことに気づき始める。

逃げ回ることにも疲れたのか、諦めた様子でホープ・フォー・ポーズの手に捕まるメス犬は、親友と同じように、はじめは酷く恐れていた様子だったが、首にリードをつけられると徐々に落ち着きを取り戻していった。メス犬にリードがつけられた後、親友は再び互いの無事を確認しあった。

怯える2匹

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2匹とも捕らえられたことに酷く怯えているようだった。こうした状況では捕えた人に対して攻撃的になる犬もいるが、どうやら2匹とも人に危害を加える気はまったくないようだった。ただただ、人間に捕まったことによって、これから何が起こるのか分からないことに怯えているようだった。

エルダッド・ハガーは後にこう語っている。「2匹とも、まったく攻撃的な性格であるようには見えませんでした。怯えている様子はあったものの、徐々に落ち着いていきました。私たちは2匹が互いの存在を確認できるよう、近くに連れていきました。こうすることで、私たちに対してマイナスの感情を持たないようにと思ったのです。2匹と一緒にその場に30分くらい座っていたでしょうか。名前を何にしようかと話し合いました。」

新しい名前

さて、ついに2匹を保護したチームは、新しい環境の中で2匹が居心地よく過ごせるようにと考えた。まず初めにしたことは、新しい名前をつけることだった。2匹がメス犬とオス犬であったこと、一緒に障害を乗り越えてきたことから、ホープ・フォー・ポーズのチームは、2匹を超人気の『スーパーマン』にちなんで、ロイスとクラークと名づけた。

しばらくの間チームはロイスとクラークとその場に座り、2匹が落ち着くのを待った。やっと新しい状況に慣れ始めた後、エルダッド・ハガーは2匹を動物病院に連れて行くことにした。

別々にされたことによる不安

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何ヶ月ぶりかに2匹は離れ離れになった。というのも、チームはそれぞれを別の車に乗せて動物病院に向かったのだ。車の中ではメンバーがそばに座って落ち着かせようとしたものの、2匹とも自分達がどこに行くのかもわからず、終始不安そうな様子だった。

長い間、2匹は互い以外の人や動物に頼ることができなかったため、1人きりになったときに新しい状況にどのように反応したらいいのか分からず、混乱している風でもあった。しかし、これはまもなく変わる。

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2匹の犬を動物病院に連れて行くと、2匹とも雑種だということが分かった。さらに動物病院では両方ともおそらく2歳くらいだろうということも分かった。過酷な環境で暮らしていた割には、ロイスもクラークも至って健康そうだった。クラークはスタッフォードシャー・ブル・テリアとピットブルの雑種だということが分かったが、ロイスについてはハッキリと分からなかった。

おそらくボーダーコリーとオーストラリアン・シェパードの雑種ではないかということだったが、正確には誰も分からなかった。ただ、保護された後、2匹とも人懐こく、愛情深い性格であることが分かった今、犬種など取るに足らないことだった。

新しい家族を探して

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今では、2匹は保護施設で暮らしているものの、新しい飼い主については未だに募集中だった。2匹ともまだ若く、よくしつけられているばかりか、他の犬や人ともうまくやっていけた。これまでは厳しい環境にいたものの、新しい生活を始める準備は万端だった。

幸い、ロイスとクラークの両方を引き取ることに興味を示した人がいるのだという。この2匹がこれまでに身を置いていた環境を考えると、2匹は一緒に引き取られた方がいい。2匹の物語には元気ばかりか、感動までもらえた。2匹の犬でさえ逆境の中でも、いやむしろ逆境だからこそ親友として深い絆を結べたのだ。私たち人間だって、できるはずだ。