捨てられ立ち往生していた赤ちゃんヘラジカを育てた男、想定外の恩返しに悲鳴

シカ科の中でも最大級の大きさを誇るヘラジカは、一見したところトナカイのようで、トナカイの親せきのような動物です。しかし実際には、およそ450キロもの巨体を前にして怖じ気づく人も少なくありません。ただ、この物語に出てくるエリック・プルックはまったく恐れることはありませんでした。エリックは農家で、動物の世話に慣れていて、救助を必要とするヘラジカの赤ちゃんに出会ったときにそれが役に立ったのです。さて、ヘラジカと人間との間にどうやって一生ものの友情が芽生えたのでしょうか。さらにはそれが地域の狩猟活動にどのように影響を及ぼしたのでしょうか。

田舎暮らし

Erikas takes a photo in the forest with a selfie stick.
Erikas Plucas/Facebook
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さて、この写真の男性が、リトアニアの農家エリック・プルックです。エリックの農園はすぐ隣に森があることから、自然の素晴らしさについては十分に知り尽くしていました。田舎に住みたいという人の多くがそうであるように、エリックは都市部の喧騒から離れて心穏やかに過ごしていたのです。

そして、たとえ人口の多い都市部から離れていても、エリックは友達に事欠きませんでした。そう、農園の動物だけでなく、隣接する森の野生動物に出くわすことも多かったのです。

予想外の発見

A young moose is cared for by humans.
Boris Roessler/picture alliance via Getty Images
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ある日、家に帰ったエリックは、農園の門のそばにヘラジカの赤ちゃんが倒れているのを発見しました。専門家でなくても知っているかもしれませんが、動物の赤ちゃんの近くにはたいていの場合、必ず母親がいて、人間にとっては脅威となることもあるのです。

そのため、エリックは周りを見渡して母親を探しましたが、それらしき姿は見当たりませんでした。そこで、怖がらせないように気をつけながら、助けが必要な赤ちゃんヘラジカの方へとゆっくり近づいていきました。赤ちゃんヘラジカの様子から、エリックはこの赤ちゃんヘラジカに何が起こったのかを察しました。

助けが必要な赤ちゃんヘラジカ

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Erikas Plucas/Facebook
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赤ちゃんヘラジカをよく見ると、どうやら生後2週間も経っていなさそうでした。「初めて見たときには、胸が張り裂けそうでした。」とエリックは語りました。動物の赤ちゃんは、初めて見たエリックをひどく恐れている様子でした。

それにもかかわらず、赤ちゃんヘラジカには逃げる体力も残っていませんでした。母親がいないせいで、何も口にしていなかったのでしょう。赤ちゃんヘラジカは汚れていて、すでにハエがたかっていました。助けを必要としているのは明らかです。

何が起こったのだろう

A gorwn moose and her calf are photographed in nature.
Portland Press Herald via Getty Images
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エリックは弱った赤ちゃんヘラジカを見ながら、一体このかわいそうな動物がどうしてこんな状態になってしまったのだろうと考えました。1つ明らかなのは、母ジカに何かが起こったに違いない、ということです。

おそらく、この生後間もない赤ちゃんヘラジカは、母ジカが猟師らによって撃たれたのを目撃し、本能的に安全な場所を求めて逃げたのでしょう。体力が残っておらずこれ以上逃げられなかったのか、それとも農園が安全な場所だと分かっていたのか、赤ちゃんヘラジカは何らかの理由があって、エリックの農園の門までたどり着いて倒れていたのでしょう。

命を救うためにできること

A baby moose eats leaves from a bucket.
Erikas Plucas/Facebook
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野生動物を発見したときに早急にすべきことと言えば、動物サービスに連絡することです。エリックもすぐに連絡しました。そして、動物サービスが到着するまでの間、この赤ちゃんヘラジカを生かすためにできる限りのことをしようと決意しました。

赤ちゃんヘラジカに食べさせるために緑の葉っぱを集められるだけ集め、牛乳と共に与えてみました。赤ちゃんヘラジカはすでに酷い状態にありましたが、動物サービスが翌日まで到着しないということもあり、急いで何とかしなければならなかったのです。

サポートは得られず…

A man bottle-feeds a baby moose.
Erikas Plucas/Facebook
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この哀れな動物が生き延びるためには、何よりもまず餌を食べなければならないと、エリックは考えていました。そして幸いにも、赤ちゃんヘラジカはエリックが与える食べ物をよく食べました。エリックは、動物サービスが到着するまで赤ちゃんヘラジカが持ちこたえるだろうと嬉しく思いました。

すでに動物サービスに連絡していたので、次に友人らに助言を求めることにしたエリックは、みんなが一様に否定的な反応を示したことに驚いたと言います。「自然に任せた方がいい。」つまり、何もしない方がいいという助言ばかりだったとエリックは語っています。

助けようと決意する

A baby moose lays down in a bed of grass.
Erikas Plucas/Facebook
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誰が何と言おうと、エリックはすでに赤ちゃんヘラジカを助けようと心に決めていました。自然を愛する農家として、助けを必要としている生き物を、特に、すでに安全な場所に運んでやった後に見捨てることなんてできませんでした。

この赤ちゃんヘラジカが生き延びる可能性は低いかもしれない。それでもエリックは諦めたくありませんでした。幸い、赤ちゃんヘラジカを捕食者からかくまってやれる納屋もあります。しかし、動物サービスが到着した翌日、エリックは更なる無関心と向き合うことになるのです。

赤ちゃんヘラジカを守る唯一の方法とは…

A young moose stands and looks directly into the camera.
Erikas Plucas/Facebook
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動物サービスが到着した翌朝には、赤ちゃんヘラジカの状態はだいぶマシになっていました。しかし、動物サービスからもたらされたのは悲しい知らせでした。リトアニアには親を亡くした野生動物を保護するサービスなどないため、動物サービスで保護することはできないと言われてしまったのです。

動物サービスではどうすることもできないけれど、地元の猟師らに連絡して、赤ちゃんヘラジカを引き取ってもらえないか聞いてみたら?と、無責任にも言われます。どうやら、赤ちゃんヘラジカを危険から守る唯一の方法は、エリック自身が育てるしかないようでした。

友情の始まり

Erikas smiles while petting the young moose.
Erikas Plucas/Facebook
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友人の助言の多くには、野生動物を飼うのは違法になるのではないかというものがありました。そのため、エリックは動物サービスにこの件について確認してみましたが、驚くべきことに、違法には当たらないだろうと言われます。

ただし、一旦引き取って飼い始めたならば、その時点からその野生動物に対して、エリックが完全に責任を負うことになりますよ、と動物サービスは警告しました。それでも、他に選択肢はありませんでした。エリックは、たとえ誰からの支援が得られなかったとしても、赤ちゃんヘラジカを自身で育てることに決めたのでした。

すべてを怖がっている赤ちゃんヘラジカ

A man pets a baby moose.
Erikas Plucas/Facebook
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赤ちゃんヘラジカは、エリックが他の人間とは違う、少なくとも、自分を助けようとしていることを理解しているようでした。まるで、エリック以外のすべてを受けつけていないかのようでもありました。

身体的な回復に加えて、エリックはこの赤ちゃんヘラジカの精神面もケアしてやらなければなりませんでした。生後間もなく怖い目にあっていることもあり、赤ちゃんヘラジカは世界のすべてを怖がっているようでもありました。何とかしてやらなければなりません。

突然、父親になるということ

A baby moose looks up at someone.
Erikas Plucas/Facebook
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エリックはこの赤ちゃんヘラジカにエマと名づけ、エマが必要とするだけそばにいてやろうと思いました。しかし、赤ちゃんヘラジカの世話はそう簡単ではありませんでした。頻繁に食事を与えなければならない上、エマは常にエリックのそばにいたがったのです。

つまり、エリックが家の中に入って見えなくなると途端に鳴き始めるのです。そのため、エマが安心できるようにエリックは納屋で寝泊まりすることにしました。こうした努力は決して無駄ではなかったのです。やがて、エマは完全にエリックを信頼するようになりました。

快適ゾーンを見つける

A moose lies down in the shade next to a building.
Erikas Plucas/Facebook
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エリックはエマが必要とすることはすべてやりました。その結果、エマはエリックと農園を信用し始めたのです。やっと、赤ちゃんヘラジカは、新しい住みかで安心して過ごすことができるようになりました。

一方、エリックはエマが農園でずっと暮らしていくことはできないことも知っていました。エマには普通の暮らしを送ってほしいと願っていましたし、それはつまり、やがて野生に戻さなければならないということを意味していたのです。ただ、エマは自分が安全だと信じる快適ゾーンの圏外にあるものすべてを怖がっていたため、野生に戻すのは決して簡単ではないことも分かっていました。

どんどん成長していくエマ

A growing Emma stands in a snowy forest.
Erikas Plucas/Facebook
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エリックの愛情と支えで、エマはどんどん成長していきました。そろそろエマを快適ゾーンから連れ出す時がきたと考えたエリックは、少しずつ、エマを連れて森の方へ散歩に行き始めます。

エリックは、自然の中に連れ出すことで本能が育まれると考えていました。トラウマ的な経験にもかかわらず、エマはエリックが行くところはどこでもついて行きました。当初は森へ入ることさえ嫌がっていたエマでしたが、育て親の人間を完全に信じきっているようでした。

自然について教え始める

A tall Emma stands near Erikas as he takes a selfie.
Erikas Plucas/Facebook
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エマは、野生で生きていく方法を母親から教わらることがありませんでした。しかし幸いにも、エリックには自然や森について、エマに教えてやれる知識がありました。

エマが大きくなって野生に戻る前に、エリックはあらゆる手を尽くして自然について教えてやらなければなりませんでした。エマが後々、独り立ちしたときに覚えておけるよう、食べ物にありつける安全なエリアや、行ってはならない危険な場所についても教えておきました。

自然に徐々になじむ

A moose makes its way through a body of water.
Erikas Plucas/Facebook
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次第に、エマは自然の中で過ごすことに慣れていきました。エリックはエマを散歩に連れ出すだけでなく、近くの湖で一緒に泳いだりするようにもなりました。晴れの日も雪の日も、1人と1匹は自然の中で共に過ごしたのです。

エマがいつもと違う場所や環境の中でも適応し始めるにつれて、これまで以上に自然にも慣れ、環境への信頼感も自信も増していきました。ただ人間に限って言えば、エリック以外の人には決して懐きませんでした。「僕には懐いているし、優しいんですけどね。」とエリックは語っています。

優しい巨大動物

Erikas pets Emma's face.
@erikasplucas/Instagram
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エマはエリックにとても懐き、エリックのそばでは本来の動物の力強さを見せることはありませんでした。エリックのおかげで大きく強く育ったものの、動物本来の力強さは時として、危険にもなるのです。

エマの体重はすでに数百キロにもなり、力ではすでにかなわなくなっていました。それでも、これは2人にとっては問題ではありませんでした。エマはエリックを傷つけることがないよう、常に力加減に気を使っていたのです。

心優しい動物を狩りの対象とさせないために

A moose walks in snow.
Erikas Plucas/Facebook
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エマは心優しい動物でした。エリックはやがて、このことを他に人にも広めるべきだと考え始めます。エマは、ヘラジカが同じ種の動物だけでなく、人間にも優しさを見せる心優しい動物だということを示すいい見本でした。

エマは完全に成長し、エリックの手を離れて1人で生きていけるところまできていました。ただ、エリックはエマが母親と同じ運命をたどるかもしれないと思うと、何もせずにそのまま野生に返すことはできませんでした。エマが野生に戻っても安全に暮らせるように何とかしなければ。たとえ、それが無駄なことだったとしても、エマのために何かしなければ、と考えました。

猟師ら、考えを改める

A man pets his grown moose.
Green Global Travel/Pinterest
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そこでエリックは、エマが単に「食用肉」ではないということを分かってもらおうと、猟師ら数人を農園に招待することにしました。エマがエリックを傷つけまいと自分の力を制御していることこそ、知能が高い証拠に他ありません。エリックに懐いている様子からも、エマが愛情深い動物であることは明らかでした。

案の定、エリックの農園に来た猟師らは、かわいいエマを傷つけないと約束してくれました。中には、もうヘラジカを狩らないと言う人もいましたが、動物の命を奪う狩り自体をやめると言う人までいました。

親として、成長した子を信じなければ…

Emma stands one a field at dusk.
Erikas Plucas/Facebook
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人間の友達の愛情と世話のおかげで、エマは徐々に自信をつけていきました。あれだけ森を恐れていたのに、毎日エリックについて森の中を散歩できるまでになったのです。

やがて、エマは1人でも歩き回るようになりました。エリックは育ての親として、エマの姿が見えないことにも慣れ、必ず無事に帰ってくると信じなければなりませんでした。地元の猟師らはもうエマを狙わないことも、エマがもう赤ちゃんではない強いヘラジカだということも分かってはいるものの、それでもやはり、心配でした。

子の独り立ちに慣れる

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Erikas Plucas/Facebook
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エマが初めて森で1人で過ごした夜、エリックは心配でたまりませんでした。あまりにも心配で寝られませんでした。エマに落ち着いて過ごせる場所だと教えた森こそが、今やエリックの心配のタネとなったのです。

しかし、エマが1人で森で過ごせるようになることこそ、エリックが育て始めた頃から目標にしていたことでした。そして、エマは森に出かけた後も必ずエリックの元に戻ってきました。安全な場所で成長し、完全に1人で出かけられるようになったエマは、元々の生息地で独り立ちしようとしていました。

それでも毎日家に帰るエマ

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Erikas Plucas/Facebook
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自然の中でも1人で安心して過ごせるようになったにもかかわらず、エマは毎日エリックの農園に戻ってきました。生き延びるためにエリックに面倒を見てもらわなければならないわけではないため、戻ってくる理由は、エリックへの愛情に他なりませんでした。そう、育ての親と楽しく時間を過ごすためだけに戻ってくるのです。

エリックはエマが自然の中で独り立ちしてやっていけるようになったことを誇りに思っていましたが、同時に、毎日無事に帰ってくるエマを見ては胸をなでおろしました。

エマ、驚きのニュースをもたらす

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Erikas Plucas/Facebook
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今や、エマには家と呼べる場所が2つ、森と農園にあります。すべてが順調だと思われました。しかしある日、エリックはあることに気づきます。それはすべてを変えるほどの出来事でした。

エマがいつも通りに農園に帰ってきたとき、エリックは何かがおかしいことに気づきました。そして徐々に、エマが少しずつ大きくなっていったのです。すでに成長しきっていたはずなのに、お腹が膨れあがっていく様子を見て、やっとエリックは何が起こっているのかに気づきました。

お腹に赤ちゃんが…

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Erikas Plucas/Facebook
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エリックは獣医ではないものの、農園で動物を飼育していることもあり、妊娠する動物を見るのは初めてのことではありませんでした。そして、日に日に大きくなっていくエマのお腹を見て、その妊娠を確信したのです。

これはつまり、かわいいヘラジカが増えるばかりか、エマが他のヘラジカと交わったことを表す素晴らしいニュースでした。自然に戻って1人で生き抜くことができるようになっただけでなく、家族を作れたということは、正に予想以上の成果でした。

一生の親友

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Erikas Plucas/Facebook
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エマは幼い頃に身に起こった出来事にかかわらず、他の野生ヘラジカと何ら変わらないように育ちました。そしてそれでも、育ててくれた人間の元に毎日帰ってくるのを忘れなかったのです。

エリックがいなければ、エマは生後数週間で死んでいたことでしょう。今や完全に成長し、自身の赤ちゃんまで身ごもっているのです。1つ確実なことがあるとすれば、エマの子どもは、自信をつけた母親と、支援を惜しまない人間の友達のおかげで、一層安全な環境で育つことができるだろうということです。これは立派なエマなりの恩返しと言えるでしょう。

もう1つの偶然の出会い

A baby deer nuzzled a man's face.
honeysada/YouTube
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ダリウス・サスノースカスがいつもとは違う何かに出くわしたのは、イエローストーン国立公園の山頂近くに住んでいたときのことでした。シカの家族を目撃したのです。自然が大好きで、散歩中よく野生動物に出くわすことにも慣れていましたが、この日はいつもとは何かが違っていました。

そのシカの家族を見ていると、子鹿が遅れを取っていることに気づきました。どうも足を怪我しているのか、家族の進む速さについていけないようでした。このままでは間違いなく捕食者に捕まってしまうため、ダリウスは何とかしなければならないと思ったのです。

家族との出会い

A cat, dog, and fawn all play on the grass together.
honeysada/YouTube
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ダリウスは子鹿に近づくと、安全な場所で足の治療をするため、家に連れて帰りました。動物好きなダリウスの家には他にも動物がいましたが、この新たな訪問者に皆興味津々でした。

幸いにも、ペットは皆、この子鹿を受け入れてくれたようでした。そのため、ダリウスは子鹿の怪我を治すことに集中できたのです。子鹿にミルクをやるための哺乳瓶を買い、寝場所として自分のベッドのそばにTシャツを敷いてやりました。

知識をシェア

A man cleans a fawn's face with tissue.
honeysada/YouTube
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ダリウスはYouTubeを使って子鹿を助けた経験を記録し、他の人にも情報を共有し、知識を伝えることにしました。動画の中には、子鹿を清潔にする過程を1つずつ見せるものまであります。

育ての母親として、夜に何度か起きて子鹿にミルクをやることもありました。ダリウスのYouTubeの動画を見る視聴者らは、こうしたダリウスの献身に心を打たれました。これは野生動物のリハビリ(怪我や病気の野生動物に治療して、回復後に生息地に返すこと)が大切だという例でもありました。

怪我を治す手助け

A fawn stands on a kitchen counter wearing a splint.
honeysada/YouTube
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ダリウスは子鹿の怪我した足を固定しようと、オートミールが入っていた箱を使って副木を作りました。足を固定することで、子鹿は立ち上がり、歩き回れるようになりました。そして再び動けるようになったおかげで、子鹿は自信をつけ、さまざまなことを学べるようにもなりました。

ダリウスは専門家ではありませんでしたが、子鹿の面倒を見るために必要な基本的なことについて調べていました。同時に、怪我が治れば野生に戻さなければならないため、あまり愛着を持ち過ぎないようにも気をつけていました。

まだ心構えができていない

A fawn sniffs a man's hand.
honeysada/YouTube
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子鹿の足はすぐに良くなったので、ダリウスは子鹿を自然に返さなければならないと思いました。そこで遊ぶために外に連れ出し、子鹿が自由に走れるようにしましたが、どうやらまだ時期尚早だったようでした。

子鹿は森の方へと走りだしては、すぐに信頼するダリウスの元に戻ってくるのです。もちろん嬉しいことでしたが、子鹿は母親から野生で生き延びる術を学ばなければなりません。野生に早く戻せば戻すほど、子鹿にとっては良いことなのです。

子鹿の家族と再会

A deer licks her fawn.
honeysada/YouTube
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怪我した子鹿を発見してから2週間、ついにその日がやってきました。外で遊んでいたときに母鹿を見つけ、家族の元へと駆けて行ったのです。子鹿は家族の元に戻りました。そして1年後、ダリウスが初めて子鹿の家族を見かけた場所にみんなで戻ってきたのです。

ダリウスは子鹿が成長した様子が分かる動画を公開しています。もうダリウスのことを覚えていないようでしたが、あまりに人間に懐きすぎると危険になることもあるので、その方が良いと言えるでしょう。ダリウスの取った一連の行為が正しかったことを物語っています。

動物園から救出された病気のオオヤマネコは、今では立派な家猫に

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@I_am_puma/Instagram
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メッシは、ロシアのペンザにあるサランスク動物園でクーガーが産んだ3匹のうちの一匹でした。メッシとその兄弟達のスアレスとネイマールは皆、ワールドカップを主催するロシアに敬意を払い、有名なサッカー選手達の名前にちなんで付けられました。

不運にも、メッシは産まれてから3ヶ月の時、健康状態があまり良くないことが分かったので、サランスク動物園では、メッシが回復するように最善を尽くしていましたが、動物園ではなく、他の誰かに世話してもらうことも視野に入れていました。

大きな猫を飼うことがアレクサンダーの夢だった

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メッシの運命は、彼が8ヶ月の時、マリヤとアレクサンダーが動物園を訪れたことによって、劇的に変化することとなります。マリヤによると、アレクサンダーは、大きな猫を飼うことをいつも夢に見ていたそうです。そして、その時はついに訪れたのです。

彼らは、もし大きな猫を飼うなら、それはおそらくオオヤマネコになるだろうと思っていました。だからこそ、メッシが病気になり、動物園が手放そうとしていたその時、彼らはすぐさま、自分たちに世話をさせてくれるように交渉をし始めました。

ついにメッシを家に連れて帰ることに

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マリヤとアレクサンダーは、動物園側が彼らの交渉に応じてくれた時、素直に驚きました。メッシを世話することは、並大抵の覚悟ではできないことはわかっていましたが、まずは健康状態を回復させることが最優先事項だったので、ただ必死に世話をし始めました。

メッシは、野生動物である以前に、体が非常に弱く、最初の数ヶ月は常に注意を払うことが必要だったと、マリヤは話しています。完全な健康状態に戻った後も、彼は他のオオヤマネコに比べて3分の2程の大きさにしか成長していませんでした。

一難去ってまた一難

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メッシの健康状態が回復した頃、マリヤとアレクサンダーは、飼い猫として、野生のオオヤマネコを飼育するという課題に直面しなければなりませんでした。彼らはメッシに、飼い猫としての習慣を覚えさせるため、野生のトレーナーに力を借りられないか頼みましたが、誰一人として賛同してくれる者は現れませんでした。

彼ら夫婦は、1LDKの狭いアパートに住んでいましたが、それでも、メッシが快適に過ごせるように工夫を凝らしました。メッシが、階段を登ったり、木で爪とぎができるように廊下を改良したりしました。

飼い犬を手名付けるかのように

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やがて夫婦は、メッシが参加することのできる犬のトレーニングスクールを見つけました。オオヤマネコのメッシは、まるで飼い犬かのように10個もの支持を理解することができるようになったのです。またメッシは、動き回ることも大好きです。

動物園で保護されてる時は、全くと言っていい程、活動的ではありませんでしたが、夫婦が特注で作ったハーネスとコートによって、メッシは散歩にも行けるようになりました。今では、1日に2回、1時間ずつ歩くことがメッシの日課になっています。

野生のオオヤマネコを飼うのには賛否両論

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マリヤとアレクサンダーが、メッシは優しく、普通の飼い犬や飼い猫と変わらないと主張していても、もちろんそれに反対する動物活動家もいます。彼らの多くは、メッシを野生に還すべきだと主張していますが、他の動物もいる中で、メッシが生き抜くことは非常に困難であると夫婦は主張します。

また他の活動家の中には、メッシはどんなに穏やかであっても、野生動物本来の習性を持っていることを忘れてはならないと言います。今のところ、メッシは、ロシアの中で最も甘やかされている飼い猫として、夫婦に順調に育てられています

メッシを飼うことは違法か?

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メッシを飼い猫として育てるのに否定的な動物活動家の中には、マリヤとアレクサンダーが行っていることは、違法なのではないかと問う者もいます。「野生」と見なされる動物を個人的に所有することに厳しい国もありますが、ロシアの法律では、かなり限られた場合にのみです。

ロシアの唯一の法律は、野生動物に対し、殺したり、傷つけたりした場合のために適用されます。つまりは、マリヤとアレクサンダーがしていることは、なんら法に反してはいないのです。マイク・タイソンが飼っていた虎だって、決して法を欺いてなんかいなかったのです。

SNSで話題に

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メッシを巡る論争が話題になればなるほど、メッシのファンも増えていきました。マリヤとアレクサンダーは、家にメッシを連れて帰ったと同時に、InstagramとYouTubeのアカウントを作りました。そして、2019年の5月時点で、メッシのInstagramのフォロワー数は944,000人にも上り、YouTubeのチャンネル登録者数は、345,000人にも及びました。

彼らのYouTubeにアクセスすると、メッシとアレクサンダーが一緒にビデオに登場しているところを見ることができます。中には、どうやってお風呂に入れるのか解説されているビデオなんかもあります。

大の医者嫌い

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メッシは、既に2歳を過ぎていますが、幼少期からの深刻な健康状態の不安が、完全に取り除かれた訳ではありません。特に、子猫時代に放置されていた筋肉が萎縮する病気については、今も治療をし続けなければなりません。

メッシは、骨を健康に保つために特定のミネラルとビタミン剤を摂取しています。治療を続けていてもまだ、彼は足を引きずって歩くので、今でも何度かは獣医に通う必要があります。

メッシという名前により..

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メッシという名前はそもそも、アルゼンチンのサッカー選手であるリオネル・メッシにちなんで名付けられましたが、マリヤもアレクサンダーも、サッカーについて特段興味があったわけではありません。ロイター通信からのインタビューの時、彼らは、「サッカーファンではない」と公言していましたが、それは後に変わることとなるのです。

アレクサンダーは、「オオヤマネコのメッシが我が家にいる今、一緒にサッカーを観戦し、同じ名前のメッシ選手がいるアルゼンチンチームを応援します。」と話します。オオヤマネコがメッシと名付けられたおかげで、アルゼンチンチームは、ロシアから2人のファンを得ることになったのです。

健康と幸せにかかる費用

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ペットを飼っている家では、年間平均約1,285ドルかかると言われています。これはアメリカ人だけでも、全体で毎年700億ドルをペットに費やしていることになります。しかし、メッシをお世話するのには、もっと高い費用がかかります。彼の食事は、生の七面鳥や牛肉、鶏肉を1日に2回づつ食べます。

彼らは、メッシを養うために毎月約2万〜4万ルーブル払っています。これは、食べ物だけで300ドルから400ドルに相当することを指します。この費用は、高価な医療代などは含まれていません。

自分自身の姿で楽しむメッシ

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マリヤとアレクサンダーは、メッシがいかにこの1LDKのアパートを自分の家として快適に過ごせるようになるか努力しました。メッシのお気に入りのおもちゃは、小さなサッカーボールと空のペットボトルです。小さなサッカーボールは、ブラジルのジャーナリストからお土産にもらったものです。

メッシのために特別に作られたクライミング・ヌックは、メッシが自分の姿を見て楽しむことが出来るように、一部、壁が鏡で覆われています。ディズニー映画ムーランの「Reflection」が再生されている間、ミラーリングされた壁の横に座り、メッシは物思いにふけっています。

犬のトレーニングスクールの効果

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少しおかしく聞こえるかもしれませんが、マリヤとアレクサンダーが連れて行った犬のトレーニングスクールは、かなり効果がありました。メッシは、10個もの指示を覚え、リストにあった指示内容も日に日に習得していったのです。ハーネスを付けて歩くことも完璧に出来たし、滅多に紐を引っ張って困らせることもありませんでした。

メッシは、自分のトレーニングが上手く行っているだけではなく、同じクラスの他の犬達とも、仲良くなりました。特に、家の近くに住んでいる犬達は皆、メッシの好き嫌いを把握しており、一緒に訓練することに何の問題もありませんでした。

スクール以外でのトレーニング強化

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メッシは、トレーニングスクールでの訓練だけではなく、マリヤとアレクサンダーとの訓練も順調に進めていきました。彼らの訓練の多くは、散歩や小旅行に連れ出す時に行います。

また、散歩などをしない時は、お風呂場でお行儀よく座っていられるように訓練を繰り返したりしました。

一緒に眠るのは至福のひととき

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家に連れて来た当初、メッシは、落ち着いてはいましたが、決して特別な愛情表現を、彼ら夫婦に対して示すわけでもありませんでした。長い月日をかけて、彼らを家族として認識し、今では、まるで室内犬のように彼ら夫婦に家族の一員として馴染んでいます。

特にメッシは、撫でてもらったり、耳の後ろを掻いてもらうのが大好きです。彼には専用の特別なベッドもありますが、アレクサンダーのベッドで一緒に横になることが何よりもお気に入りです。その時、決して、爪を出してベットに飛び込まないようにすることも日々の訓練で覚えました。

大きな猫を飼うことでの生活制限

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もちろん、メッシのような大きなオオヤマネコを家の中でお世話することは、マリヤとアレクサンダーの生活にもある程度の制限がかかってきます。今のところ、休日の唯一の選択肢というと、車で足を伸ばせる範囲に出かけることがのみです。これはただ、メッシが泊まることのできるホテルを探すことが困難だからと言う理由だけではないのです。

また、アレクサンダーは、町の印刷会社で働いていますが、メッシと散歩に毎日いく必要がある今、もう長らく同僚と仕事帰りに飲みに行ったりしていません。これらは、おそらくただ犬や猫を飼うだけではあまり起こりえない問題でしょう。

メッシが苦手なもの

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穏やかで、人にも決して噛み付いたりはしないメッシですが、そんな彼でも苦手なものがあります。それは、自分より大きく、なにかおかしな鳴き声を出す動物です。

マリヤとアレクサンダーが、牧場に連れて行き、牛を見せた時、それは明らかになりました。メッシは幸い、牛に襲いかかったりはしませんでしたが、ただじっと牧場の柵の外から、彼らが立ち去るのを待っていました。

他の猫との相性

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彼ら夫婦には、既に6歳になる「キラ」と言う名のスフィンクスの猫がいましたが、メッシは、その猫ともあまり仲良くなれませんでした。2匹を会わせようとしたところ、キラは、メッシに噛み付こうとしたのです。

その状況の後からは、2匹の猫をあまり接触させないようにしています。

自分が特別だと言うことに気づいていない

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@I_am_puma/Instagram
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彼ら夫婦は、メッシ自身が飼い猫として、室内で飼われると言う特別な状況を自然に受け入れてくれたことにとても感謝しています。マリヤは、「神様、ありがとう。メッシは自分がこの地球上のスターだと言うことに気が付いていないわ。もし、気が付いてしまったら、きっともっと傲慢になるものだもの。」と話します。

メッシは、特別な扱いを受けないことに何の問題もなく、飼い主が猫のキラと戯れていても決してそれに嫉妬することもありません。オオヤマネコを飼うということは、既にかなりの無理難題でもありましたが、メッシが特別扱いを要求せず、自然と順応してくれたことが彼らの励みにもなりました。

彼らの夢はメッシだけでは終わらない

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おそらくあなたは、オオヤマネコのメッシとスフィンクスのキラで、マリヤとアレクサンダーはもう充分満足なのではないかと思うでしょう。しかしながら、彼らは更にもっと猫を増やしたいと考えています。彼らは近い将来、大きな家に引越し、猫達のためにもっと場所を確保したいと考えています。

そして今度は、ヒョウを家に招き入れ、メッシと一緒に育てていきたいと思っています。新たに大きな猫を迎え入れた場合、また大きな論争を起こす可能性がありそうですが、彼ら夫婦は、決してその事だけに目を奪われず、いかにメッシが、幸福で最良の人生を過ごすことができるのかに尽力していきたいと考えています。